独り旅で使用する「使い捨てカイロ」の温度と持続時間を検証

車中泊独り旅

「使い捨てカイロ」は非常に多くの製品がありますが、使って思うことは、

・暖かくない

・持続時間が短い

などの不満点が多々あります。全ての製品では無いのですが、ときどきハズレを引くことがあります。
ハズレを引いても、こんなもんかと言いながらゴミ箱にポイしていると思います。
「使い捨てカイロ」は製品ごとに特性が違います。後で説明しますが、JIS規格が有るのでほぼ均一な特性(性能)があると思いきや、規格が緩くて、結果、バラツキが大きくなっている感じです。
私としては、多くの製品の中から満足度が高い商品(価格も含めて)を見つける事が重要だと思います。
一部の製品でですが、「使い捨てカイロ」を評価してみましたので、ご参考にしてください。

参考までに「日本カイロ工業会」という使い捨てカイロの公益法人があります。加入会員数は、現在15社で 日本全国の使い捨てカイロを製造している全会社が入会していない感じです。
設立当時は46社加入でしたがだんだん減っている感じです。
カイロ業界を指導する立場としては弱い感じですね。

   

実際に個々の「使い捨てカイロ」を温度と時間を測定

近くのスーパーやホームセンターで入手した「使い捨てカイロ」で温度と時間を検証してみました。
比較すると、最高温度、平均温度は数値は一緒ですが、唯一異なるのが持続時間だと思います。
消費者側もこの持続時間を見て買うカイロを選択していると感じます。

車中泊なり山行での「使い捨てカイロ」用いるシーンは、シュラフの中に入れて背中か足先を暖めることがメインだと思います。特に、足先が冷え切っていると、いくらシュラフに入っても暖かくならないので寝れない事態となり、かなり辛い思いをします。
こんな時こそ「使い捨てカイロ」の出番で、あって良かったと感じることが出来ます。

ネットでは「使い捨てカイロ」の記事が多数ありますが、温度と持続時間はカタログ値をのせて比較しているだけであり、ほぼやらせ記事であり信用できません。

で、実際に「使い捨てカイロ」を購入して 温度と時間を計測してみました。

使用した「使い捨てカイロ」

選択した商品は、持続時間12時間前後と通常アウトドアで多用する貼るタイプの製品です。
比較として貼らないタイプを一種類、貼るタイプMINIも一種類も比較対象として選択しました。
近くの薬局、ホームセンター、スーパーマーケットで購入した製品です。

貼るカイロ(レギュラーサイズ)

◆貼らないカイロと貼るカイロMINI

比較検証した「使い捨てカイロ」は合計6種類。

製品ごとの 最高温度、平均温度、持続時間など大差がない感じです。
ただ、TOPVALUの貼るMINIカイロがレギュラーと同じなのは、何となく解せません。
重量もレギュラーの半分程度なMINIで、持続時間が10時間は無いのではと感じます。

検証方法

<温度測定>
SHIMADEN製 温調計 SR71

<熱電対>
T型熱電対 精度:±0.3℃

①<失敗例>
毛布の上に使い捨てカイロを貼り付けて
T型熱電対をテープで固定

最初に行った方法ですが、テープを貼ったため、不織布より空気が入る量が減り 最高温度が50℃ぐらいまでしか上昇しませんでした。失敗!


カイロの不織布に小さい穴を開けて
その穴にT型熱電対の先を少し差し込んで固定

最高温度も60℃以上になり正確に測定出来ていると思います。

今回は、この穴に差し込む方法で温度を測定しました。

熱電対を固定して、最後に上に毛布を被せて測定開始。

各カイロの温度と時間をプロット

毛布の中に「使い捨てカイロ」と熱電対をセットして、1時間ごとの温度を測定して、温度と時間の関係をプロットしました。

使い捨てカイロ 貼るタイプ 比較

   

曲線から、「最高温度」「平均温度」「持続時間」の一覧表

結果からもわかりますが、測定条件が同じなのに製品ごとにバラツキが大きいのが判ります。

最高温度は、60℃以上あれば判定は〇としました。

「使い捨てカイロ」のトップメーカーである桐灰カイロの性能はやっぱりスゴイです。少し最高温度を抑えてますが、持続時間が長いのが特長です。欠点は、値段が別メーカー品と比較して1.5倍程度高い事かな。

貼るタイプ・貼らないタイプ・MINI 温度曲線比較

メーカーはTOPVALUの製品です。

   

曲線から、「最高温度」「平均温度」「持続時間」の一覧表

貼らないタイプの持続時間が、表記20時間が実測14時間と短いのビックリです。MINIも表記10時間が実測5時間30分と約半分なのもビックリです。
でもMINIが短いのもわかる様な気がます。重量がレギュラー約40gに対してMINIは約19g 発熱体が半分以下なのに持続時間が、なぜ同じ10時間なのでしょうか。発熱体が半分程度なら持続時間はレギュラーの半分で6時間になると思うのですが。何か間違っているのでしょうか?

なぜ持続時間が表記の数値より短いのか

下記図は、使い捨てカイロのJIS規格(JIS-S4100)に書かれている温度特性測定装置の構造図です。(注)JIS規格資料はコピーも印刷もできませんので、下記図は独自にパソコンで描きました。
評価するカイロは、各カイロと30cm離しなさいとされてますので、この装置一台に測定するカイロは一個ということになります。
メーカーは、この温度特性測定装置を使って、「最高温度・平均温度・持続時間」を出します。

よーく、下記図の温度特性測定装置を見てください。

   

JIS規格 JIS-S4100の温度特性測定装置・方法

JIS-S4100に記されている「最高温度」「平均温度」「持続時間」を測定する方法で、下記図に示す測定装置に張り付けて測定します。

  


   

室温20℃で、温熱器に30℃のお湯を循環させて2時間放置後、温度30℃と安定化してからの測定開始となります。

そうなんです、測定は「使い捨てカイロ」を30℃に十分に温めた上で行われるという事です。
いわば、30℃の真夏日に「使い捨てカイロ」を使うという条件下での測定評価の実施になります。

発熱体にとっては良い測定条件ですよねー。こんな好条件で測定した「最高温度・平均温度・持続時間」を堂々と表記して、実際には真冬に用いるわけですから。

そりゃー、寒い時期に使用すると「持続時間」は表記時間より短くなるのは当たり前のような気がします。
ただし、桐灰だけは表記時間を維持しているのはさすがです。
しかし、桐灰カイロを実際にJIS規格の方法で測定するともっと持続時間は長いのではと感じます。

 


JISC 日本産業標準調査会
JIS規格を閲覧できます。ただし、閲覧するのみコピーも印刷も不可です。
JIS検索項目で「JISS4100」と入力すると「使い捨てカイロ」の規格が誰でも閲覧できます。
閲覧するには、ユーザーIDとパスワード設定が必要です。

    

最高温度・平均温度・持続時間などの注釈

転用:桐灰カイロ

※が付いた最高温度・平均温度・持続時間などは注釈が書かれてます。
<この様に書かれてます>
「表示の最高温度・平均温度・持続時間は都条例に基づく測定値ですので、実際の使用時の状況によって差異が生じる場合があります」と

そりゃーそうでしょう。差異が出て当然だと思います。

都条例:東京都の条例で「使い捨てカイロ」に関する規制が書かれています。

参考までに、都条例にもJIS規格(JIS-S4100)を遵守と書かれています。



メーカーも誠意が無いですよねー。気温10℃の時の持続時間は・・・、気温0℃の時の持続時間は・・・、 と表記して欲しいと思いますが。

何となく騙されているような気になってきますねー。まあこの程度の製品だということで諦めましょう。

まあ、この30℃というのはメーカーにとって簡単なのでしょうね。0℃で測定となると0℃を維持する装置は大がかりになりコストもかかると思いますので。
でも真夏日に測定したデーターを表記して真冬に販売するなんて、消費者をバカにしている感じがします。どうなんでしょ!

たぶん、知らない方が大多数だと思います。嫁さんに、この事を話すと、えーー嘘ーという感じで、カイロ使わない時期に測っても意味無いじゃんと怒ってました。(怒)・・・(笑)

結果

個人的には、車中泊やキャンプ・山行にはTOPVALUの貼るカイロ(12時間)を愛用しています。
良い点は、50℃以上が11時間(持続時間は実質10時間)あり夕方から次の朝まで暖かい点です。
野外で使用すると、寝る前からシュラフに入れて朝までの半日程度(12時間)の実質的な持続時間が必要となります。
それと価格が安いことです(約20円/ケ)。たぶんですが、最安値だと思います。

足先を暖めるためには、靴下等に入れるために最低限2個は必要となります。
またご紹介しますが、暖かいテントシューズの内側にカイロを貼り付けて足先を常に暖めています。
これが意外に暖かく便利な方法です。
2個で約40円程度、40℃以上の持続時間は11時間と半日程度は暖かいので十分な性能です。
   
カイロに表記されている持続時間は、ある意味絶対に信用できないので差っ引いて考える必要があります。特にMINIサイズは重量からしてレギュラーサイズの半分程度(5~6時間)の持続時間しかないと判断すべきです。持続時間は、中の鉄の重量に比例すると思われるのですが、重量半分でレギュラサイズと同様な持続時間10時間は納得できません。

私が愛用しているTOPVALUの「貼るカイロ」の欠点は、イオン系の店にしか置いてない点です。私の場合、近くにイオン系列のマックスバリューがあるので、すぐに入手できますが、イオン系列の店が無い場合は入手は難しいと思います。それと3月に入るとほとんど売られていません。販売期間は10月~3月の秋から冬の間のみです。暖かくなると売れないので置くスペースが無駄になるとの観点からみたいです。

この記事を読まれた方も、自身に合った良い「使い捨てカイロ」を選択してくださいね。


アウトドアに最適な600ml容量の「湯たんぽ」に「使い捨てカイロ」を用いて保温時間を倍以上(10時間程度)に保持する方法です。

   

◆山で良く用いる「ナルゲンボトル」にお湯を入れて「湯たんぽ」がわりにする方法です。
お湯の容量が少ないために4~5時間程度しか温かくありませんが。「使い捨てカイロ」とのコラボで保温時間を倍以上維持する方法です。
この方法だと朝までシュラフの足元がぬくぬくとなります。
寒い時期に山に行かれる方は是非読んでください。


   

    

#独り旅で使用する「使い捨てカイロ」の基礎

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コメント

  1. 通りすがり より:

    相対的に参考になる実験を紹介していただきありがとうございます。ただ、公定法は体に接して使うためのカイロの測定には実態に即した方法だと思います。平熱36度の人間に密着して使える時間が知りたいわけですから。
    また、30度で温めて=ゲタを履かせて測定してる印象があるのかもしれませんが、これも逆です。発熱時60度のカイロからは、測定中30度の方に熱を奪われ続けているのです。30度のお風呂に長時間入っていたらどうなるか想像すれば感覚がわかると思います。人間の平熱以下でカイロを冷やしながら測定しているということです。

  2. カイロ屋 より:

    JISに携わったものです。

    解釈違いがあるようですが、カイロ本体を30度に安定させる指定はありません。
    あくまで循環温度を30度とし、環境温度を20度とするのみです。

    なおJIS規格はすでに強制規格ではありませんので順守しているか不明なメーカーもあります。

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