アウトドアボンベ(OD缶)の基礎知識

ガスストーブ

携帯ガスボンベの種類

    

   

携帯ガスボンベの種類は、鍋などで使用するカセットボンベ(CB缶)と登山などで使用されるアウトドア・ボンベ(OD缶)の2種類があります。
OD缶は大きさも「大,中,小」と分かれており携帯に優れています。また、季節ごとの気温に適したガス成分が3種類あります。

山旅の気温(最低気温)に注意することと、山旅をする日数(期間)で持っていくガス量でOD缶の量とガス成分の種類を決めなければいけません。たとえば夏に1000m級の山でテント一泊二日程度であれば缶は小(約100g)ガス成分は「春夏用」でOKでしょう。

しかし、雪山でのテント泊で一泊二日であれば、大きさは中(250g) ガス成分は「オールシーズン用」、気温がマイナス10℃以下が予想されれば「極寒用」となります。
ガスボンベの選択は命にかかわるため、登る山の標高と季節、気温でOD缶を選別する必要があります。

  

OD缶 液化ガス量による比較

画像は、PRIMUSのパワーガス(T) オールシーズン用 

容器の大きさで、大中小の3種類あります。缶の表示の数字は大体のガス量を示していますがメーカーによって内部のガス量は異なります。

  

OD缶 ガス成分と使用最低温度

   

ガス成分によって使用できる温度が違います。混合するガスは、ブタン、イソブタン、プロパンの3種類。
  

ガス成分による使用可能温度とタイプ表示


プリムス(PRIMUS)製品を例として説明します。

ガス組成によって、ノーマル(G)、ハイパワー(T)、ウルトラ(U)の3種類

G:使用温度5℃   T:使用温度-10℃   U:使用温度-15℃

   

ガス組成と使用温度

  ・イワタニ・プリムス(株)の公式サイトより
  ・使用温度はガス成分より推測値 (メーカーの公式発表数値は無い)

   Propane(プロパン) 沸点:-42.09℃
   Iso butane(イソブタン) 沸点:-11.7℃
   Normal butane(ノルマルブタン) 沸点:-0.5℃ - 通称ブタンと呼ぶ

沸点とは液体が気化する温度です。バーナーは気化したガスに着火して使用しますので沸点が低い方がより寒い所でも使用できるということです。
    

プリムス(PRIMUS)とエピガス(EPIgas)とのガス成分比較

    

  ・PRIMUSの使用温度はメーカーの公式発表値なし、ガス成分からの推定値
  ・EPIgasの使用温度はメーカーの公式発表値

   

ガスボンベの規格(国際的な規格が無い)

 

プリムスとエピガスでガス成分は異なっています。

このように各ガスボンベ製造メーカーでガス組成は異なっており、使用温度も異なるので注意が必要です。そもそも、なぜ異なっているかというと、国際的な規格がないためです。

  

CB缶の規格「JISS2148」「JISS2149」はあるが OD缶は規格無し

   

当然、OD缶に関するJIS規格が無い状況。(CB缶の規格 JIS S 2148 JIS S 2149 はある)このガスカートリッジの元祖はイギリスのEPIgasで、このEPIgasのガスカートリッジの製品規格が「EN417」というヨーロッパ規格である。
この「EN417」規格が、瞬く間に世界中に広まりOD缶のスタンダードになって世界中のメーカーが採用している状況です。
    
OD缶の規格は「EN417」というヨーロッパのローカルな規格ですが、容器形状、カートリッジのバルブ形状などが統一されています。この「EN417」が事実上の国際規格になっています。
   
ISOなどの国際規格が無い状況であり、JIS規格もISO規格と連携しているため 当然、OD缶関連の独自JIS規格は制定されていません。

参考までに) EPIgas製品は現在全て日本国内で製造・販売しています。

EPIgas製品カタログ(PDF) 
製造・販売:UNIVERSAL TRADING Co., Ltd.
ユニバーサルトレーディング株式会社



ガス成分の違いによる熱量

 

ガスバーナーのガスは3種類ですが、グラム単位の熱量はほぼ同じ程度です。したがって、より低温用の混合ガスが、熱量が多くて火力が強いわけではありません。
名前がパワーとかウルトラとかついてますので勘違いしそうですが、熱量的にはまったく同じで火力も同じです。混合ガスにする目的は、より低温での着火性を向上させるためです。

参考)
ちなみに、上記表に示す様に、アルコールバーナーの熱量はガスの半分程度です。例えば、山旅でOD缶250 1個でのガス量250gを消費する旅であるなら、単純計算で、アルコールバーナーであれば倍の500gを最低限持って行く必要があります。
アルコールバーナーの使用は、ULな登山にはむいてないと言えます。

 

使用済みOD缶のガス残量のだしかた

   

登山やキャンプなどで使用したOD缶のガス残量を把握しておくことはとても重要です。気が付けば使用済みでガスが少し残っているOD缶がゴロゴロと箱の中にたまった状態となります。次の山行の時には、ゴロゴロと残っているどのOD缶を持っていこうかと悩む事態になります。

使用したOD缶の重量を計る

  

◆プリムス(PRIMUS)とエピガス(EPIgas)のOD缶の重量

 

大中小の缶の重さはだいたい同じなので、使用済みのOD缶の重量を計り、缶の重さを差っ引けばガスの残渣量が出せます。だいたいですが!


個人的には「小」で100g「中」で150g「大」で200gを差し引いてガス残量を出してます。あくまでもだいたいなガス残量ですが目安にはなります。

手に乗せてウーンと唸る、振って液化ガスの揺れ具合から残量を推測するなどよりは
遥かにましです。

   

OD缶の規格

   

前記内容にも書きましたが、OD缶には国際的な規格がありません。当然JIS規格もありません。あるのはヨーロッパ規格である「EN417」があるだけで、日本のガスメーカーもこの規格にのっとりボンベを製造しています。

wikipediaによると

そして、バルブは「EN417」規定されている「7/16”UNEFネジ付バルブ」というのが、正式名称Lindal B188バルブというらしく、ドイツに本社を置くLindal社が作っているとのことです。
このLindal(リダル)バルブを使用しているサプライヤーは 
EPIgas、コールマン、GoSystem、プリムス、Brunton、ジェットボイル、スノーピーク、キャンピングガス、オプティマス
とHPに明記されています。
SOTOが無いのですが? まあSOTOも実績がありますし大丈夫でしょう。日本メーカーであれば安心できます。

過去には、コールマンのバルブが少し問題になったとサイトに出ていました。
考えてみると、ボンベ側の「EN417規格」にあわせたバーナー側はどうなるか心配になります。
特に中国製のバーナーは安価ではありますがどうなんでしょー。安全を考えたらきちんとしたメーカー製のバーナーを買いたいという気がしますがいかがでしょう。

バーナーとOD缶は同一メーカー製をお使いくださいと明記されてます


その理由は下記の通りです。

保証の対象にならない

JIA(一般財団法人 日本ガス機器検査協会)に認証されたバーナーはそのメーカー指定ガスカートリッジを使って安全性の検査をします。他のメーカーのガスカートリッジですと、万が一事故が起こった時に保障の対象にならない。

バーナーとOD缶は同一メーカー製を使いなさいと言うことです。そうでないと事故が起きても保障しないと言うことです。日本のメーカーもJIS規格は無いし「EN417」規格で製造しているとも宣言してません。! ブヅブツ!不満満載!

個人的には、登山口のバス停とか山小屋でOD缶は販売されてますが。だいたい1~2メーカーのOD缶しかありません。手持ちのバーナーメーカーに合わせることが不可の場合も多いと思います。
実際には、別メーカー製OD缶も買って使ってますが、今のところ何の問題も発生してません。きちんとしたメーカーのOD缶が売られているので大丈夫なのでしょう。
まあどのOD缶を使用しても自己責任だと感じます。使う上でガス漏れが無いかなど最大限の注意をしましょう。

   

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ガス詰め替え

何かあると保証の対象外となるガスの詰め替え(再充填)

記事にはしてますが、極力使用しないほうが良いと思います。安全のために!


CB缶→OD缶


OD缶 → OD缶



CB缶→OD缶やOD缶→OD缶という中身を詰め替えるアタッチメントが多数あります。同メーカーのバーナーとOD缶でも、OD缶のガス成分が違えば想定と違う燃焼になります。
OD缶側面にも「再充填された場合は責任をおいかねます」と明記されています。

EN417で定義されているように『再充填不可が大前提』でありバルブの耐久性はそんなに高くないため繰り返し使っているとガスが漏れたり出なかったり危険です。

私も持ってまして以前は使ってましたが、意外に面倒なのと安全性の観点から使わなくなりました。
OD缶は高いので、CB缶から補充して安くOD缶を使いたいからでしたが、普通のCB缶はブタンが主成分であり、これをOD缶に補充すると使用温度が高くなってしまいます。
山で使用するOD缶にはプロパンやイソブタン混合の使用温度が低いボンベを使用したいからです。

山での天候は変わりやすく急激に気温が低下する時があります。こんな時にバーナーに火がつかない、火力が弱いなどの事態にはなりたくありません。
    
便利なアダプターではありますが。できることなら使わないのがベストだと思います。

ヤマレコに、OD缶の取り扱いに関して記事があります

   

OD缶の安全性

     

CB缶にはJIS規格(JIS S 2148 とJIS S 2149) があり、規定に圧力基準があります。

  ①1.3MPaで変形せず
  ②1.5MPaで破壊しない
    
 ①②両方の項目を満足することとあります。

CB缶は蓋、筒、底の3パーツ、OD缶はボディーと底の2パーツでできていて、かしめて接合している箇所が少ないためOD缶の方が丈夫にできているみたいです。
従ってCB缶より圧力耐圧が高いとメーカーサイトに明記されています。

JIS規格のあるCB缶には、温度と蒸気圧との相関を示す曲線が測定されております。その蒸気圧曲線によると約85℃までは、JIS規格の圧力基準を満足するとの結果です。

OD缶の蒸気圧曲線はネットで探しましたがみつかりませんでした。OD缶には気温が低い時に使用できるように、プロパン成分が多く入っている製品があります。
プロパンの蒸気圧はブタンの5倍程度高いのでプロパンが入っているOD缶は、温度にたいして蒸気圧が高くなると判断されます。
OD缶の容器は耐圧力が高いとの事ですが、実際には耐熱温度はどのくらいなのでしょうか。プロパンが混合されているOD缶は、取り扱いにはより注意が必要です。

参考としてブタンとプロパンの温度と蒸気圧を示します。

   

経済産業省 LPガスの基礎知識

    

車の保管に関して
上記表からプロパンの蒸気圧はブタンよりはるかに高いことがわかります。低温用のボンベでプロパン濃度は20~40%程度ですので注意が必要です。車内に置いている場合、ダッシュボード上など太陽光があたる場所ではなく暗部に置くなどの注意が必要です。
   

気温20℃以上の時使用に関して
プロパンが入っているOD缶は、気温が高いと蒸気圧が高くなり、バルブを開くとガスがいっきに放出され火をつけるとかなりの高さまでの炎となりますので、気温が高い時には使用不可です。
現在、「気温20℃以上の時には使用しないでください」OD缶側面に表記されています。

参考記事:カセットボンベ(CB缶)の基礎 をお読みください

(注意)

移動に飛行機を利用する場合、ガス缶を持っての搭乗は出来ません。お荷物チェックで引っ掛かります。飛行機を降りた現地にて購入すること。

現地到着後にガス缶を買える店等を調べておくこと。登山口の山小屋ではだいたい買うことができますが、保障の限りではありません。
特にOD缶を買える店は登山専門店と限られてますし。一度、山小屋で買おうとしたら缶が売れきれており難儀した経験があります。下界で買っておくべきだと思います。

その点CB缶はどこでも買えますから車中泊やオートキャンプなどは心配いりませんね。


山旅で用いるOD缶ですが、使用する環境によつてタイプを選択する必要があります。またCB缶と異なりJIS規格が無いため、使用条件によっては自己責任になります。使用上では十分な注意が必要です。

  

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