熱量的にガス(LPG)の半分しかない
単純比較して、アルコールバーナーの火力はガスバーナーの半分程度の熱量しかなく、火力は弱いと認識すべきです。

注)1グラム単位の熱量(KJ/g、Kcal/g)は、数値が大きいほど燃焼した時に火力が強いことを示します。
市販の燃料アルコール(77:22)での熱量は、5.7Kcal/g、ガスバーナーのノルマルブタンの熱量が11.8kcal/g。 5.7÷11.8=0.483とアルコール燃料はLPGの約半分の熱量しかありません。
単純比較すると、何日間の山行の場合、ガスバーナーのOD缶250g消費すると仮定すると、アルコール燃料は倍の500cc(400g)を消費します。LPGと比較して約2倍の重量を持ち歩く必要があります。
アルコール消費量を計算
ガスバーナーと比較して、アルコールバーナーの燃料は約倍の燃料が必要です。日帰りとか一泊程度の火力なら有効ですが、何日間のアルプス縦走などには燃料の重量が大きくなり適していないと感じます。
それでもアルコールバーナー一本で実施する場合には、一食当たりのアルコール消費量を計算して、何食だから何グラムのアルコールを持参するかを判断する必要があります。
参考までに、私は一食あたり60cc~90ccとして計算しています。
・一合炊飯 — 30cc
・500ccお湯を沸かす — 30cc
スープ(みそ汁)などに300cc コーヒーなどに200cc
・その他必要に応じて — 30cc
意外に多量のアルコールが必要ですよねー。一泊だと夕食、朝飯、昼飯(ラーメン)だとすると最低限200ccが必要となります。ガスバーナーだとOD缶MINI(100g)でも余裕だと思いますが。
何日間もの山行の場合、個人的には、ガスバーナーと炊飯回数分の固形燃料を持参しています。
これが一番ではないでしょうか。固形燃料を持参する目的は、「ほったらかし炊飯」を実施するためです。ガスバーナーは単純にお湯を沸かすのみ。スープとコーヒーでお湯の量は500cc、ガス消費量は約10g程度です。
バーナートップとクッカーとの距離で火力と燃焼時間が変化する
Trangia製アルコールバーナー(TRB25)の特異な特性です。一番最初に知っておく基礎知識だと思います。
火力を最強にするには、バーナーTOPとクッカーとの距離を40~50mmにする必要があります。
火力を強力にするには、五徳の選択が重要です。TRB25の高さは40mmなので、火力最強で使用できる五徳の高さは80~90mmとなります。
十字五徳をTrangia製アルコールバーナーに用いると火力は最強の半分程度と弱くなります。火力が弱くなりますが燃焼時間は2倍に増えます。この十字五徳を使用すると100℃まで到達しません。
ネット上でアルコールバーナーは火力が弱いと嘆く方が多いおられますが、使用している画像を見るとほとんどの方が十字五徳を使用されています。高さのある五徳に変えれば「火力が弱い」と嘆く必要はなくなるのですが。
水を沸騰させるアルコール量
アルコールバーナーは火力調整が困難であり、ガスバーナーの様な使い方は出来ません。
例えば、500ccの水を沸騰させるには、バーナーに25ccのアルコールを入れて使い切ることが必要です。なるべく消費をロスしない使い方が求められます。アルコールバーナーは、途中で消火もままならない、やっかいな物です。アルコールを継ぎ足すことも火を消してからと、結構面倒な作業となります。
火力調整フタ使用した場合の、火力と燃焼時間
付随する「火力調整フタ」を使用した時に、いかに火力が低下するか、またその時の燃焼時間は?
火力調整フタを使用した場合、スライド扉全開で、火力は約半分に、燃焼時間は2倍となります。
アルコール量30ccでバーナーTOPとクッカー間の距離40mmで約11分間の燃焼時間が、火力フタを使用すると燃焼時間が倍の約22分間となります。
燃焼時間が倍になるということは、火力は半分まで低下していると判断できます。
ノーマルな燃焼時間
一定量のアルコール量で、何分間燃焼するかを知っておくと非常に便利です。
燃焼時間の算出方法
燃焼時間=4 × n – 1 (nは10cc単位)
例えばアルコール30ccなら n=3で 4×3-1=11分程度
アルコールバーナーはアナログ的なので誤差は±1分程度あります
アルコール量が40cc以上になると
燃焼時間=4 × n – 2 (nは10cc単位) に合うような気がします。
燃焼時間が増えると、輻射熱でバーナー本体の温度が上昇して燃焼効率がアップするためだと感じます。実際に40ccだと13~14分台となります。
上記情報は、バーナーとクッカーとの距離35mmにおいてです。距離を変えると少し変わると思います。
焦げ付きが発生しない「ほったらかし炊飯」
火力を落として燃焼時間を増加させることで、固形燃料と同じような火力と燃焼時間を得た結果、固形燃料と同様な「ほったらかし炊飯」が可能となりました。
火力調整フタを使用した方法と十字五徳を使用した方法の2通りの「ほったらかし炊飯」があります。
この「ほったらかし炊飯」の方法を知ると、焦げ付きが発生しない炊飯で美味しいご飯が味わえます。
火力調整フタ使用した「ほったらかし炊飯」
火力調整フタを使用すると燃焼時間が2倍となります。従って、火力は半分程度に低下していると思われます。実際に炊飯すると、火力調整フタを使用しないと強烈な焦げ付きが発生しますが、火力調整フタを使用すると焦げ付きがほとんど有りません。
十字五徳を使用した「ほったらかし炊飯」
エバニュー製の十字五徳を使用しています。バーナーとクッカーとの距離は15mmとなります。
この五徳を使用すると、火力調整フタを使用した場合と同様に、燃焼時間は約2倍となります。当然、火力は半分程度に弱くなっていると思われます。
アルコールバーナーの、バーナートップとクッカーとの距離で火力と燃焼時間が変化するという特異な特性を活用した「ほったらかし炊飯」方法です。
Trangia製アルコールバーナー(TRB25)に関する記事終了
Trangia製アルコールバーナー(TRB25)に関する記事は、今回で一応終了します。
同様な検証をエバニュー(EVERNEW) チタンアルコールストーブ EBY254で実施したいと思ってます。
ネット情報によると、火力が強くて良いアルコールバーナーであるとの事です。
Trangia製アルコールバーナーと同様な特性なのでしょうか。
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